性同一性障害者の結婚式を依頼されて
2019.4.30いつくしみ深き
2019.8.29私の好きな映画の中に、『バック・トゥ・ザ・フューチャ―』というのがあります。主人公がタイム・マシーンに乗って、30年先の時代に行ったり、100年前の時代に逆戻りしたりして、自分自身や家族がより幸せな生活になるように、人生の大事な節目で様々な行動を起こして、歴史を書き換えようとする訳ですが、その映画が大ヒットしたのは、同じような体験をしてみたいと思う人がいるからではないかと考えます。
先日、統一協会(世界平和統一家庭連合)から脱会された女性の話を読みました。彼女は6年前に、いわゆる合同結婚式に参加するために、韓国に渡りましたが、そこで初めてご主人になる人と顔を合わせます。つまり、自分の結婚相手を、教祖が決めるのです。その教祖は「真のお父様」と呼ばれる文鮮明でしたが、2012年に亡くなってから、「真のお母様」である奥さんがやっています。「結婚式」の中で、こう言われたそうです。
「お父様がいなくても、淋しく思わないでください。お父様はお母様と一体化して、目に見えないけれども、一緒にいます。」
女性はその言葉で大きな感動を覚えたそうですが、日本に帰国した途端、ご両親に保護されて、牧師から説得を受けることになります。最初は反発しましたが、牧師の話を聞いているうちに、またマインド・コントロールに関する本を読んでいるうちに、統一協会の間違いが分かり、脱会する決意をしました。脱会後の一声は、「結婚してしまう前に脱会したかった」ということです。彼女の体験を読んで、「タイム・マシーンがあればな~」と思いました。
誰でも、自分の歴史から消したい、あるいは変えたい出来事があるのではないでしょうか。残念ながら、タイム・マシーンはありませんが、聖書によると、過去の失敗を赦してくださり、また益に変えてくださる神がおられます。しかし、悲しいことに、そのような神の存在を信じることのできない現代人が多くいます。「奇跡を起こすような神なんて、いる訳がない」と、彼らは言うのです。
そこで、私は再び、タイム・マシーンのことを考えます。
「もし、タイム・マシーンに乗って、200年、300年前の時代の人々に、飛行機のこと、テレビのこと、スマホの話をしたら、信じてもらえるのだろうか。」
恐らく、信じてもらえないと思います。人間は大体、自分の経験や理解の尺度を越えた話に対して、「あり得ない」と片付けてしまいます。「人間が空を飛べるようになるなんて、そんなことは絶対にない」と言うでしょうけれども、今、現実に、人間は飛行機を使って、世界のどこにでも飛んで行けます。
聖書に書かれている奇跡の話を読む時に、ある人は「あり得ない」と決め付けてしまいます。その時、その人は自分のごく限られた経験や知識だけで、そのように判断する訳ですが、ちょうど昔の人に飛行機の話をした時に予想される反応と同じです。「いや、実は、こういうことが起こり得るのです。あなたはまだその力を経験していませんが、全能なる神様がおられて、どんなことでもおできになるのです。あなたはまだ江戸時代に生きている人です」と説明すれば、分かってもらえるかも知れません。
「私の時は、御手の中にあります」(詩篇31:15)
私の義母が天に召されるまで、心の支えにしていた聖句ですが、タイム・マシーンに乗ることよりも、私たちのタイム(時)を御手の中で握っておられる神を信じて委ねることの方が、幸せな人生を歩む秘訣だと言えるのではないでしょうか。