私はテレビコマーシャルが余り好きではなくて、普通、何かの番組を見ていても、コマーシャルになるとすぐに音を消したりすることが多いのですが、一つだけ、「凄いなー」と感心してしまうコマーシャルがあります。ライザップという会社(プライベート・ジム)のコマーシャルです。最初に、少しぽっちゃり系の女性がさえない表情をしながら、ビキニ姿で登場します。そして次の瞬間、ライザップで2カ月間のトレーニング(50万円もかかるそうです)を終えた彼女が映ります。もう、別人のようです。モデル雑誌にでも写真が載りそうな感じの女性に生まれ変わっています。次に、おなかが相当、出っ張っている30代の男性が登場します。誰が見ても、カッコ悪い男です。しかし、彼も驚くべき変身を遂げています。同じ人だとは思えないほど、筋肉モリモリの体で再登場するのです。
別に、ライザップに頼まれて宣伝している訳ではありませんが、コマーシャルを見る度に、考えさせられます。人間が自分に対して一つのイメージをもって、そのイメージ通りになろうと努力する時に、驚くほどの変身を遂げられる、ということです。
アルゼンチンの有名なサッカー選手にリオネル・メッシがいます。数々のスーパー・プレーで「マラドーナ2世」と呼ばれていますが、10歳の頃、成長ホルモンの分泌異常の症状が発覚して、成長ホルモン投与などの高額な治療なしでは身体が発達しないと診断されました。14歳の時点で、彼の身長は、まだ143センチしかなく、それ以上、伸びる見込みはありませんでした。しかし、メッシ少年は、自分が世界の大舞台で活躍する一流のサッカー選手になるためにこの世に生れた人間だというビジョンを抱き続けて、練習に励みました。2001年に、スペインのFCバルセロナのユースチームの入団テストを受けます。当時の監督カルロス・レシャックは、彼のプレーを一目見ただけで、その小さな身体に驚くべき才能と将来性が宿っていることを悟り、すぐさま合格を決めます。更に、FCバルセロナは、治療費を全額負担することを約束したのです。結局、ユースチームで治療とトレーニングを続けた結果、身長は169センチまで伸び、選手としても一流のテクニックを披露するまでに成長した、ということです。
ライザップのコマーシャルに出る人々や、メッシ選手の他にも、自らの努力によって変身を遂げた人が沢山いますが、確かに、自分にどのようなイメージを抱くか、自分のためにどのような将来像を描くかによって、人生は大きく変わると言えるのではないでしょうか。しかし、残念ながら、多くの現代人は極めて低いセルフ・イメージを持っています。過去の傷などの影響で、「私は駄目な人間だ」とすっかり思い込んでしまい、自分の将来に対する夢が描けずにいますが、聖書の中に、自尊心が低下している人々向けのメッセージがあります。
「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している」(イザヤ書43章4節)。
「わたしはあなたがたのために立てている計画をよく知っている・・・・それはわざわいではなくて、平安を与える計画であり、あなたがたに将来と希望を与えるためのものだ」(エレミヤ書29章11節)。
カルロス・レシャック監督がメッシの秘められた才能を認めたように、父なる神も私たちに素晴らしい可能性があると見てくださいます。問題は、私たち自身が同じように自覚しているかどうかということです。また、ライザップに通う人々が自らをパーソナル・トレーナーに委ねるように、私たちも、神の力強い御手に身を委ねるなら、きっと素晴らしい変化を遂げるでしょう。