サイレント・ナイト
2015.12.28ドナルド・トランプ旋風
2016.5.2 去年の夏ごろから、シリヤの難民問題が何度もニュースで取り上げられています。難民たちは、数年前から続いている内戦による悲惨な状況から何とか逃れようとして、シリヤからトルコ経由でギリシヤに渡り、最終的にはドイツやイギリスなどを目指しますが、エーゲ海でゴムボートが転覆して、命を落とす人々が沢山います。1月22日の転覆事故で45人、1月30日の事故で33人も死亡したと報道されています。また、数ヶ月前、ギリシヤの海岸に流れ着いた4歳の男の子の遺体の映像がインターネットに載り、世界中の人々に大きな衝撃を与えました。その映像を見て、「何とかしなければならない」と誰もが思ったでしょうが、なかなか難しい問題をはらんでいます。
難民の受け入れが期待されているドイツやフランスには、猛反対している人々が多くいます。難民の中に、テロリストが紛れ込んでいるのではないかとか、自分たちの税金の負担が増えるのではないかとか、国の文化が変わってしまうのではないかとか、失業率が悪化するのではないか、とかいうような懸念を持っています。また、そもそも何故、国民の血税で関係のない外国人の面倒を見なければならないのかという不満を漏らす人々もいます。確かに、国民の言うことにも一理あります。
アメリカも前から、アフリカなどの難民を積極的に受け入れていますが、なかなかうまく行かない面が多々あります。先日、南部のジョージア州で難民を支援するためのボランティア活動をしている20代の女性の話を読みました。ルマ・ムフレーという女性で、ヨルダンの裕福な家庭で生まれ育った人ですが、アメリカの大学に入って、そのままアメリカに残り、アメリカの市民権を取った人です。自分も外国からアメリカに移住し、外国人としての苦労が分かるから、何とか難民がアメリカの社会になじむことができるように助けたいと思って、ジョージア州のクラクストンという町で難民の子供のためのサッカー・チームを始めたのです。アフリカのスーダン、ヨーロッパのコソボ、中東のイラク、またアフガニスタンなどから子供が集まって来ました。皆、大変な状況の中から命からがら逃げて、大きな傷を負っている子供ばかりです。ルマさんはチームの監督として、子供たちにサッカーを教えるだけでなく、勉強を見てあげたり、相談相手になってあげたり、家庭に食べ物を届けてあげたりするのですが、少しずつ、子供たちとその家族の信用を得て行きます。しかし、チームとして一つになるということは、なかなか大変でした。言葉や生活習慣の違いもあり、中東から来た子のアフリカ人に対する偏見もあり、アフリカ人のヨーロッパの人に対する警戒心もありましたが、ルマさんはなるべくお互いの違いではなく、共通点を強調しました。そのうちに、チームとして見事にまとまって、サッカー大会で優勝するのです。
ここに、難民問題の解決の糸口があると言えるかも知れません。まず、お互いの違いではなく、共通点を見つけることです。更に、それに加えて、受け入れる側に難民に対する同情心と期待感、難民側に感謝の表明・地域活動への参加・言語の取得を加えることができれば、相互理解が生まれるのではないでしょうか。
聖書はこう言っています。
「あなたがたの神、主は、神の神、主の主、偉大で、力あり、恐ろしい神。かたよって愛することなく、わいろを取らず、みなしごや、やもめのためにさばきを行ない、在留異国人を愛してこれに食べ物と着物を与えられる。あなたがたは在留異国人を愛しなさい。あなたがたもエジプトの国で在留異国人であったからである」(申命記10章17―19節)。