尖閣諸島問題に見る人間の愚かさ
2013.1.2北朝鮮ミサイル危機に思うこと
2013.4.30 先日、私の手元に、100兆ドルの紙幣が届きました。ある国が実際に発行して、使用していたものです。その国とは、アフリカのジンバブエです。ジンバブエ・ドルは2007年に世界で最も価値の低い通貨ワースト5の一つとなり、国はその対応策として急きょ、1億の額面のジンバブエ・ドル札を発行しましたが、その後、通貨の価値が更に下がり、ついに2008年の末には100兆ドルの紙幣が登場しました。年間インフレ率は約2億3000万パーセントに達したのです。
かつては農業、鉱業、工業のバランスの取れた経済を有する国家として、「アフリカの穀物庫」と呼ばれていたジンバブエですが、2013年1月の時点で、国庫金の残高がたったの217ドル(約2万円)になっています。いったい、ジンバブエの経済を駄目にしたのは、何でしょうか。1965年まで続いた植民地時代、白人農場主が国土の90パーセントを所有していました。彼らは農業の技術を生かして、小麦などの作物の生産性を高め、国は農業国として繁栄しました。しかし、その一方、国の繁栄を支えていたのは、低賃金で過酷な労働使役についていた黒人です。彼らは国の繁栄の恩恵を受けることなく、貧困に喘いでいました。段々と白人支配に対する不満が募り、1960年代から黒人による独立運動が始まります。1980年につい白人政権が打倒され、黒人国家が樹立されます。初代首相として選ばれたロバート・ムガベは、初めは黒人と白人との融和政策を進めましたが、2000年8月から白人所有大農場の強制収用を政策化し、協同農場で働く黒人農民に再分配しますが、その結果、白人地主が持っていた農業技術が失われ、食糧危機や極度のインフレが発生した訳です。しかも、ジンバブエの救世主と期待されていたムガベ氏は、段々と独裁者としての正体を現わすようになりました。言論の統制や、厳しい報道規制などの強権的な政策を打ち出していきました。また、2008年3月に行なわれた大統領選において、野党勢力に敗北しましたが、選挙終了後も長期にわたって選挙結果を公表せず、野党勢力に徹底した弾圧を加えました。更に、国民の700万人が飢餓状態であっても、常に超豪華生活を楽しんでいるのです。
カルトにおいてもよく見られるパターンですが、偉大なリーダーとして崇められている人間が、実は、自分の懐を肥やすために人々を奴隷にし、その財産を巻き上げてしまいます。イエス・キリストも、そのような人間について、こう述べています。
「あなたがたも知っているとおり、異邦人の支配者と認められた者たちは彼らを支配し、また、偉い人たちは彼らの上に権力をふるいます」(マルコ10:42)。
この世の指導者の特徴は、人々を支配することと、権力をふるうことだとキリストは言われますが、確かに、多くの国や、カルト教団における悲しい現実です。これに対して、聖書的な指導者は、全く違う性質を現わします。
「しかし、あなたがたの間では、そうではありません。あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、みなに仕える者になりなさい。あなたがたの間で人の先に立ちたいと思う者は、みなのしもべになりなさい。人の子が来たのも、仕えられるためではなく、かえって仕えるためであり、また、多くの人のための、贖いの代価として、自分のいのちを与えるためなのです」(マルコ10:43-45)。
世界の各国において、また各宗教団体において、このような指導者が起こされれば、人間社会がどんなに大きく変わるでしょうか。