杉原千畝の生涯にまつわる謎
2012.2.16天国に行った男
2012.2.16鳩山総理の突然の辞意表明に、多くの日本国民が驚くと共に、呆れてしまったことでしょう。日本の総理大臣の辞任劇は、4年前から、毎年、繰り返されています。ここ22年の間に、総理大臣が実に、16回も変わっているのです。アメリカのオバマ大統領は2年前に「チェンジ」(変革)という標語を掲げて、国民の心を動かしましたが、日本の場合は、幾らなんでも、チェンジのし過ぎです。
鳩山さんが辞任に追い込まれた理由として、政治と金の問題、高速の無料化などのマニフェストを実現できなかったこと、「米軍基地の県外・国外の移転」という、沖縄県民に対する約束が守れなかったこと等が挙げられますが、一言で言うと、言葉の軽さです。後から、「基地の県外、あるいは国外への移転の話は、私の個人的な希望であって、民主党の決定ではないから、公約ではありません」と苦しい弁解(こじつけ)をしましたが、これでは、政治家として信用されません。そればかりか、国民を不安に陥れています。
数多くの深刻な問題が山積している今、私たちは日本の政治家たちに何を求めるべきなのでしょうか。一つは、明確なビジョンです。この国の進むべき方向を示し、具体的な問題解決法を提示し、国の繁栄と国民の幸せが信じられる具体的な目標を掲げることです。「幻がなければ、民はほしいままにふるまう」と旧約聖書の箴言29章18節にありますが、まさに、日本の現状を表しています。明確なビジョンがないために、人々は国の将来を考えずに、自分中心的な生き方をしているのです。
次に、ビジョンを実行するための知恵が求められています。国がこのまま借金生活を続けると必ず破綻すると、専門家たちは警告をしています。たとえ専門家でなくても、赤字を止めなければどうなるか、誰の目にも明らかですが、問題を認識しているだけでは何も変わりません。この危険な状況を打開するにはどうしたら良いか、その具体的な対策が必要です。ダビデ王を支える人々の中に、「時を悟り、イスラエルが何をなすべきかを知っている」イッサカル族の指導者が200人もいたと書かれています(1歴代誌12章32節)。今日、日本にもこのような集団がいたら、国は変わります。
最後に、勇気です。国を変えるためのビジョンは、必ずしも、すべての人々に喜ばれるものとは限りません。国民の痛みが伴うものは、反対されるかも知れません。例えば、「国の財政を安定させるためには消費税の税率を上げなければならない」と言うと、即座にブーイングの大合唱が始まるでしょう。しかし、本当に国のことを考える政治家は、人の耳に心地の良い話ばかりをせずに、勇気をもって、国益のための政策を打ち出して、実行することも必要です。
間もなく、参院選が行なわれます。ビジョンと知恵と、勇気のある政治家が選ばれることを、切に祈りたいものです。
「そこで、まず初めに、このことを勧めます。すべての人々のために、また王とすべての高い地位にある人たちのために願い、祈り、とりなし、感謝がささげられるようにしなさい。それは、私たちが敬虔に、また、威厳をもって、平安で静かな一生を過ごすためです」(1テモテ4章1―2節)。