あふれるばかりの恵み
2012.2.16神の御手の中にある鉛筆
2012.2.167年前にアメリカで起きた、同時多発テロ事件は、全世界の人々に大きな衝撃を与えました。イスラム原理主義者が4機の飛行機を乗っ取り、そのうちの2機はニューヨークの世界貿易ビルに突っ込み、もう1機はワシントンの郊外にあるペンタゴン(国防省)に激突しました。アメリカの国民に大変な衝撃を与える事件でしたが、乗っ取られた4機目の飛行機がどうなったか、ご存知でしょうか。この飛行機は、ホワイト・ハウス、あるいは国会議事堂に突っ込むことになっていました。ところが、35人の乗客の中に、携帯を持っている人が何人かいて、世界貿易ビルが攻撃されたという情報を聞き、テロリストが何を企んでいるかが分かり、抵抗しようと覚悟を決めました。パイロットを殺して、操縦室に閉じこもっていたテロリストに、皆で襲いかかることになったのです。非常に危ない賭けでしたが、どうせ飛行機がホワイト・ハウスとか国会議事堂に突っ込めば生存する可能性もないし、テロリストをやっつければ、自分たちで何とか飛行機を無事に着陸させることができるのではないかというかすかな望みもありました。小型飛行機を操縦した経験のある人がいたからです。結局、操縦室のドアを打ち破り、テロリストを抑えることに成功したものの、うまく飛行機の操縦ができずに飛行機が墜落してしまい、残念ながら、乗客全員が死亡しました。
しかし、乗客の勇気ある行動がアメリカのシンボルを守っただけでなく、多くの命をも救いました。そして、救われた命の中に、国会議員も含まれています。恐らく、テロリストが第一に狙っていたのは、ホワイト・ハウスか国会議事堂だったのではないかと言われています。また、もし、その陰謀が成功したら、更にアメリカに決定的な打撃を与えただろうとも推測されていますが、いずれにしても、テロリストに立ち向かった35人の乗客は国民の英雄になりました。特に、リーダー的役割を果たしたトッド・ビーマーという人が称えられることになったのですが、彼は31歳で、二人の幼い息子さんがいました。アメリカのマスコミはすぐに、彼の奥さんであるリサさんに、「あなたのご主人はどうして、あんなことができたのですか」と質問をしました。リサさんはご主人と共に、敬虔なクリスチャンでした。彼女は深い悲しみの中にあったのですが、これは2度とない証しのチャンスだと思って、テレビやラジオ、新聞のインタビューに応じました。ちなみに、リサさんはその時、妊娠6ヶ月でした。インタビューの中で、ご主人がキリストによって変えられていつも人のために生きようとしていたこと、やがて天国でご主人に会える希望があること、また、どんな悲劇の中にも神様の目的があるはずだということをしっかりと伝えました。彼女の証しはアメリカの全土に反響を呼び、ブッシュ大統領にも注目され、国会議事堂で行なわれた大統領の演説に招かれることになりました。国会議員の前で話をしている最中に、大統領はわざわざリサさんを立たせて、ご主人の功績を称えました。すると、国会議員は総立ちをして、彼女に盛大な拍手を送りました。後で、リサさんは国会議員の人から、「あなたのご主人は私の命の恩人です」と言われたりもしたのです。その数ヵ月後、リサさんは無事に女の子を出産し、その後、『レッツロール』という本を書いています。「レッツ・ロール」とは、「仕事に取り掛かろう」という意味の俗語で、トッドさんがテロリストに立ち向かう前に発した言葉で、携帯の録音テープに残っていました。『レッツ・ロール』はベスト・セラーになり、更に多くの人々に感銘を与えました。こうして、リサ・ビーマーさんは、ちょっとしたリバイバルを引き起こしましたが、ご主人を亡くされたばかりの妊婦に、どうしてそのようなことを成し遂げることができたのでしょうか。使徒パウロはその秘訣を明かします。
「私は、キリストの力が私をおおうために、むしろ大いに喜んで私の弱さを誇りましょう。ですから、私は、キリストのために、弱さ、侮辱、苦痛、迫害、困難に甘んじています。なぜなら、私が弱いときにこそ、私は強いからです」(2コリント12章9-10節)。
私たちはビーマーご夫妻ほどの大きな仕事はできないかも知れませんが、キリストの力を求めて、目の前のチャレンジに立ち向かっていこうではありませんか。
「レッツ・ロール!」