クロス・ステッチのような人生
2012.2.16巣鴨拘置所で起こった奇跡1
2012.2.16「バウンダリーズ」という言葉をご存じでしょうか。カウンセリングの中で度々浮上する、とても大事な言葉です。「境界線」という意味ですが、私たちは自分の健康を守り、自分の才能を十分に生かすために、人間関係において、明白なバウンダリーズを設定しなければなりません。それは、「イエス」と「ノー」という言葉を使い分けることによってできることです。
日常生活の中で、私たちは周囲の人間から、様々な要求をされます。ある場合は、その要求を受け入れるべきだと判断することもあるし、またある場合は「ノー」と断るかも知れませんが、「イエス」と言う時に、私たちは、「はい、それは私の敷地内の問題です。きちんと責任を取ります」と表明します。また、「ノー」と言えば、「それは私の問題ではありません」、あるいは、「私はそのことが嫌いです。嫌です。お断りします」とバウンダリーズを明白に設定することになる訳です。人間関係のあらゆる問題の原因は、バウンダリーズが曖昧になっていること、または、守られていないことにあります。
カウンセリングに見える方々はほとんどの場合、「ノー」が言えません。自信がなかったり、相手の反応を恐れたり、「クリスチャンは何を頼まれても受け入れる愛の人でなければならない」という勘違いをしているために、いつでも「イエス」としか言えない訳ですが、それは言ってみれば、自分の敷地を無限大に広げてしまうようなことです。そこで、どんな結果を自分の身に招くかと言うと、肉体的、また精神的な疲労です。ここに最大の悲劇があります。すなわち、疲労困憊の状態では、自分の賜物を十分に用いることができなくなってしまう、ということです。
ですから、バウンダリーズを設定する時に、自分の才能は何なのか、どんな仕事に向いているのか向いていないのか、神からどんな夢(ビジョン)を託されているかをよく考えなければなりません。言い換えれば、自分のアイデンティティー(自分は何者であるか)を知ることです。自分に与えられた導きや才能に合った要求で、喜んで受け入れられる要求に対して「イエス」と言えば良いし、そうでない要求を断れば良いのです。
最近、日本の企業経営者たちの間に広まっている言葉として「選択と集中」というものがあります。バブルの時期は、何をやっても成功したので、多角的経営が流行りました。しかし、不況と競争が激しさを増す中で、本当に利益を生み出すものを選び、そこにエネルギーを集中させた方が良い、というのがビジネスマンの常識になっているようです。もはや、「あれもこれも」の時代ではなく、「本業は何か」を真剣に考えなければならない時代になった訳です。
「私の本業・本職は何か。」
企業経営者だけではなく、私たち一人一人が問い直してみるべき問題ではないでしょうか。自分の健康を保つためにも、時間の浪費を防ぐためにも、また自分のタラントを最大限に生かすためにも、もう一度、神にある自分のアイデンティティーを確認し、バウンダリーズを引き直すべきです。
「主は答えて言われた。『マルタ、マルタ。あなたは、いろいろなことを心配して、気を使っています。しかし、どうしても必要なことはわずかです。いや、一つだけです』」(ルカの福音書一〇章四一~四二節)。
あなたは、優先すべきことを優先し、健全なバウンダリーズを設定しておられますか。