先月、行なわれた選挙の時に、何度も目にしたり、耳にしたりした言葉、「この道しかない」。安倍首相が自分の景気対策への支持を訴えるために掲げた、とても分かりやすいスローガンですが、安倍首相の自信(信念)の強さを表していると言えます。また、判断に迷っている人々の心を動かすための心理的なテクニックだと考えることもできます。
カルト化した宗教団体においても、「教祖」とされている人間は、しばしば、信者たちに対して宣言します。
「この道しかない。私に従うのでなければ、救われることはない。何も考えずに、黙って、私について来なさい。」
自信のない人間にとっては、非常に力強く聞こえる言葉です。また、ある種の希望や生き甲斐を与えるものでもありますが、問題は、どこまでその言葉を信用できるか、ということです。安倍首相にしても、あるいはカルト教団の指導者にしても、彼らはあくまでも人間です。嘘をつくこともあるし、自分の語ったことを実現できないこともある、弱い人間です。ですから、私たちは社会生活を送るうえで、それなりの分別力・識別力が求められています。勿論、人間不信に陥ることも問題ですが、相手の言葉を鵜呑みにせず、自分でよく考えて、念入りに調べ、判断しなければなりません。物事を判断するプロセスの中で、まず重要なのは、はっきりとした信念、あるいは価値観を持つことです。クリスチャンの場合、その信念は聖書に基づいています。
「どのようにして若い人は自分の道をきよく保てるでしょうか。あなたのことばに従ってそれを守ることです。・・・・・・あなたに罪を犯さないため、私は、あなたのことばを心にたくわえました」(詩篇119:9,11)。
人間の言葉と違って、聖書は絶対的な信頼に値します。それは、神のみことばであるからです。聖書の神は、必ず、ご自分の約束を守られるお方です。
もう一つ、物事を判断する時に大事なのは、神の導きを祈り求めることです。私たちは日常生活の中で、聖書が直接、言及していない問題に突き当たることが多々あります。就職、住居、結婚などですが、神のみこころがなるように祈る時に、不思議に、「この道しかない」という確信に至らせていただけます。
「たとい主があなたがたに、乏しいパンとわずかな水とを賜っても、あなたの教師はもう隠れることなく、あなたの目はあなたの教師を見続けよう。あなたが右に行くにも左に行くにも、あなたの耳はうしろから『これが道だ。これに歩め。』と言うことばを聞く」(イザヤ書30:20-21)。
今年も、きっと想定外の出来事が多数、起こるでしょう。難しい判断を迫られることもあるかも知れませんが、神の守りと導きの中で、「この道しかない」という絶対的な確信が持てる人は、幸いです。