靖国神社参拝問題の謎
2014.8.22この道しかない
2015.1.6 最近、イラクを拠点とする国際テロ組織「イスラム国」のことがテレビのニュースなどで取り上げられています。アルカイダ系組織の流れをくむ武装勢力です。今、イラクとシリヤで活動しており、目的はコーランの教えを厳守するイスラム国家の樹立にあります。また、世界中のイスラム教徒に対する宗教的権威を主張して、欧米の住民を殺害するように働きかけています。非常に恐ろしい話ですが、アメリカ人の間で、13年前のアルカイダによる同時多発テロ事件の恐怖がよみがえっています。
アルカイダのルーツをたどると、意外な歴史的出来事が影響していることが分かります。それは、1948年に起こったイスラエルの再興と、その後、何度も繰り返されるイスラエルとアラブ諸国との間の戦争のことです。イスラエルが奇跡的に、2000年ぶりに国として誕生し、また1956年、1967年、1973年にアラブ諸国の総攻撃を受けても、徹底的に勝利を収めたということは、アラブ諸国のイスラム教徒にとっては、言葉では言い表せないほどの衝撃を与えました。そこで、ある真面目なイスラム教徒は考えました。
「このような悲劇が起こったのは、我々に対するアラーの裁きだ。我々は欧米の影響を受け過ぎて、コーランの教えから離れ、堕落してしまった。コーランに立ち返らなければならない。コーランの教えを土台としたイスラム国家を世界中に樹立させなければならない。また、ジハードをして、そのビジョンに反対する人々をことごとく殺さなければならない。特に、イスラエルを支援する米国は、大サタンであるから、徹底的にやっつけなければならない。」
これが、いわゆるイスラム原理主義の元となった発想ですが、オサマ・ビン・ラディンなどがこれを掲げて、アルカイダなどの過激派組織を設立した訳です。テレビで何度も報道されていますが、「イスラム国」は、イギリスやフランスの記者を捕まえて殺害し、その映像をインターネットで流しています。また8月に、日本人をも拘束しています。更に、イラクの北部にいるクリスチャンに対して、凄まじいほどの迫害を行なっています。
こうして、宗教は時々、恐ろしいものになってしまう場合があります。どんな間違ったような、極端な教えであっても、神の名によって語られると、人々は神の意志だと信じて、命懸けでそれを守ります。神の喜ぶことだと思い込ませられれば、どんな極悪非道なことでも、平気でやってしまうのです。
拡大する「イスラム国」の脅威に対して、アメリカ合衆国などは空爆を続けていますが、余り効果がないようです。その一つの理由は、日本を含む世界各地から、「イスラム国」のビジョンに賛同した若者たちがどんどんイラクに集合し、「聖戦」に加わろうとしているからです。彼らは、カルトに入信する若者と同様に、人間社会に失望し、生き甲斐を求めています。ですから、今、最も必要なのは、悩む若者の不満に耳を傾け、健全な宗教のあり方を指し示すことだと言えるかも知れません。
「私の兄弟たち。あなたがたのうちに、真理から迷い出た者がいて、だれかがその人を連れ戻すようなことがあれば、罪人を迷いの道から引き戻す者は、罪人のたましいを死から救い出し、また、多くの罪をおおうのだということを、あなたがたは知っていなさい」(ヤコブの手紙5章19―20節)。
私たちの周りにも、危険な思想や生き方から救われるべき若者はいないでしょうか。機会があれば、暖かい愛の手を差し伸べていきましょう。