言葉の力
2012.2.16チャーリー・ブラウン症候群
2012.2.16今年も、8月6日と9日に、広島と長崎のそれぞれの都市において、平和祈念式典が行われました。原爆投下から58年たっても、それによってもたらされた苦しみの記憶は消えず、その傷もいやされません。一つの爆弾によって十何万人もの命が奪われたという事実は、私たちの想像を絶するものですが、聖書は、原爆よりも更に恐ろしいものがあることを示しています。それは、現在に至るまでのすべての戦争の根本的な原因になっているもので、人間の心に宿る罪です。
「イエスは・・・・・・言われた。『人から出るもの、これが、人を汚すのです。内側から、すなわち、人の心から出て来るものは、悪い考え、不品行、盗み、殺人、姦淫、貪欲、よこしま、欺き、好色、ねたみ、そしり、高ぶり、愚かさであり、これらの悪はみな、内側から出て、人を汚すのです。』」(マルコによる福音書7章20-23節)
ここで、イエス・キリストは、人間の心の中に恐ろしい悪の力が働いていることを指摘しておられます。また、その悪の力があらゆる罪を生み出すとおっしゃいます。そうです。悪い考え、殺人、貪欲、欺きなどは、まず心の中で製造されるもので、やがて具体的な行動へと変わっていきます。そしてその時、その罪が「人を汚す」ということです。つまり、本人の人生にも、また性格にも、多大な悪影響を及ぼしてしまう訳です。
ある画家がイエス・キリストの顔を描こうと、モデルを探していました。とうとう見付け出したのは、田舎の青年でした。彼の目は水晶のように透き通 り、その顔は汚れを知らない天使のようでした。こうして画家は念願のキリストの絵を完成することができました。この時から何年もたったある日、この画家は、今度は、イエス・キリストを銀30枚のために裏切って敵の手に渡したイスカリオテ・ユダの絵を書きたいと思いました。画家はできるだけ悪魔的な形相をした男を捜し出し、モデルに雇いました。しわの深く刻まれた顔、目と目の間がよってギョロッと鈍く光る目には、人間でないような生命のない失望と落胆の悲しみの色と、不敵なのろいの色が混ざり合っていました。画家は熱心にデッサンし、その男の姿を写 しているうちに、不思議にこの男はどこかで見たことがあると思われてきました。
「あ!この男は何年か前、私がイエス様を描いた時のモデルの青年だ。」
そう気付いた時、その男も重い口を開きました。
「先生、気がつきましたね。あの時の青年ですよ。」
彼の背後には、罪と失敗と、つまずきの数々があったのです。罪は、恐ろしい破壊力を持っています。罪には、人の人生を破壊する力だけでなく、人間関係、家庭の幸せ、国家と国家との平和を破壊する力もあるのです。結局、人間の間に争いが絶えないのは、自分の都合や利益しか考えることのできない、罪の心があるからです。
イエス・キリストは、人間の罪の心を造り変えるために、二千年前に十字架にかかって死んでくださいました。その事実を信じて、救い主としてキリストを受け入れる者は、新しい心の持ち主となります。コリント人への第二の手紙5章17節にあるとおりです。
「だれでもキリストを信じるなら、その人の心は全く新しく変えられる。もはやそれまでと同じ人生ではなく、全く新しい人生が始まったのである。」(『現代訳聖書』)。