真の希望
2012.2.16一人の青年が、大工として働きたいと願い、ある工務店で面 談を受けることにしました。「定職がないので、親から『人間のクズだ』と言われる」と、青年は小さな声でこぼしました。すると、大工さんが間をおいてから、次のように話しました。
「お前な、クズやカスは大丈夫だ。ゴミは駄目だが、クズやカスは再生がきくんだよ。紙クズ、鉄クズを見ろ。立派な資源だ。ガラスのクズは新しいガラスを作る時に必要なんだ。酒カスで甘酒を作る。カス漬けなんか、うめいだろう。おれも学校も出てねえし、若い時はクズだった。親不孝もしたよ。」
大工の話が青年の胸を打ち、心を開かせ、やる気を起こさせました。彼は今や、立派な大工さんに成長しつつあるということです。
聖書の中にも、再生品として立ち直った人物が出て来ます。例えば、ザアカイという取税人です。取税人というのは、イスラエル人でありながら、ローマ帝国に協力して、同胞から税を取り立てた人のことです。多くの場合、必要以上のお金を取り立て、ローマ人に渡す以外のお金を自分たちで着服し、金持ちになっていました。このようにして、取税人はその不正直さと、ローマ帝国に協力しているという理由で、イスラエル人から嫌われていました。まさに、「人間のクズだ」というレッテルを張られていたのですが、ザアカイは「取税人のかしらだった」と書かれています。ですから、イスラエル人の目には、「クズの中のクズ」というふうに映っていました。
しかし、ある日、ザアカイはイエス・キリストに出会いました。自分をありのままで受け入れるキリストの愛に触れて、ザアカイの心が変わりました。聖書は、その変化について、次のように述べています。
「ザアカイは、急いで降りて来て、そして大喜びでイエスを迎えた。これを見て、みなは、『あの方は罪人のところに行って客となられた。』と言ってつぶやいた。ところがザアカイは立って、主に言った。『主よ。ご覧ください。私の財産の半分を貧しい人たちに施します。また、だれからでも、私がだまし取った物は、四倍にして返します』」(ルカによる福音書十九章六~八節)。
何という驚くべき変化でしょうか。不正直だったザアカイは、正直な人間に生まれ変わりました。それまでお金に執着し、自己中心的な生活を送っていたのに、社会問題に対して関心を持ち始め、自分の財産の半分を貧しい人々に施すと約束したのです。ザアカイはまさに、キリストによって再生された人間です。
あなたも、周りの人間から、「お前はクズだ」と言われて、傷つけられたことがあるかも知れません。しかし、失望することはありません。例えクズであっても、あなたはゴミではありません。クズであったとしても、いつでも再生がききます。人生のやり直しができるのです。再生品には、新品以上の強さがあります。希望を捨てずに、人生にチャレンジし続けてはいかがでしょうか。