エホバの証人の元長老がカルト教祖に?
2012.6.21「現代宗教研究会」名古屋で開催
2012.8.189歳の時から一年間、エホバの証人の男性信者から性的虐待を受けたとして、キャンディス・コンティーという女性(26歳)が、ものみの塔聖書冊子協会と加害者と加害者の所属するノースフリーモント会衆に損害賠償を求めた裁判で、6月13日に、アメリカのカリフォルニア州最高裁で判決が言い渡されました。裁判官は、280万ドル(22億円)の賠償命令を出すと共に、2年間、協会の資産(約800億円相当)の凍結も命じました。賠償金の40パーセント(8億8000万円)は、ものみの塔が支払うことになっており、その支払いの責任から逃れられないようにするための処置ですが、この資産凍結の命令が、賠償命令よりも組織に大きなダメージを与えると見られています。この数年間、経済的に苦しい状態が続いているものみの塔協会は、節約対策の一環として、ニューヨークのブルックリンにある不動産を売却して、本部の移動を計画していました。この計画以外にも、雑誌の縮小(2013年1月から『ものみの塔』誌も『目ざめよ!』誌も32頁から16頁のものになる)、ギレアデ学校の閉鎖、世界各地での支部の閉鎖、会衆の合併など、様々な策を講じてきましたが、ブルックリンの資産の処分ができなくなると、より一層、厳しい状況に置かれます。ベテル本部の元長老ランダル・ウォーターズ氏は、「今回の判決は、ものみの塔協会の船を沈める最後の一撃だ」とコメントを発表しています。ウォーターズ氏は、経済的なダメージと共に、組織のイメージダウンに注目しています。真面目に組織に従ってきた信者たちは、自分がエホバの証人であると名乗ることが恥ずかしくなり、かなりの人が組織を離脱するのではないかと見ています。なお、今回の判決を受けて、一般の人々から、「どうして組織が一人の信者の行動に対して賠償をしなければならないのか」との批判も出ています。しかし、裁判で証明されたことは、児童への性的虐待が発覚された場合、各会衆の長老が組織の指示に従って、警察に通報せずに、隠ぺいを図っていたということです。ちなみに、裁判を起こしたキャンディス・コンティーさんは、その動機について、「ものみの塔協会に方針を変えさせたいと願っていたし、他の被害者たちにも勇気を与えたかった」と話しています。