去る9月21日より24日まで、札幌で第5回日本伝道会議(日本福音同盟主催)が開かれました。2000年に沖縄での前会議から9年ぶりの開催となりましたが、今回のテーマは、『危機の時代における宣教協力』でした。教職者が中心であったこれまでの会議と違って、今回は一般の信徒が参加者(約2,000人)の三分の一以上を占めていました。主題講演の他に、15分野に別れた宣教協力の話し合いが行われました。そのうちの一つはカルト問題に関するもので、真理のみことば伝道協会のウィリアム・ウッド師と高山正治師がその中でそれぞれ、15分の発題をしました。
会議の最終日に、「札幌宣言」が採択されました。危機の時代の中で、日本の教会が何に取り組むべきかを指し示す宣言文ですが、時代の危機を、世界、日本、教会の三つのレベルで進行しつつあると捉えています。「世界の危機」として、9・11テロ事件などに見られる紛争や、食糧危機、環境問題、金融危機による貧困の格差などが挙げられています。「日本の危機」では、家庭内虐待、いじめ、雇用悪化、薬物乱用の多発、無差別殺人の増加、政治の右傾化などの問題が言及されています。また、「教会における危機」として、教会員の高齢化、青少年層の減少、無牧教会の増加、各種のハラスメント、及び、「教会のカルト化」などの問題があるとされています。
特に注目に値するのは、「教会のカルト化問題」に関する言及です。真理のみことば伝道協会は、2002年12月に『教会がカルト化するとき』が出版されて以来、「教会のカルト化」という表現を用いて、この問題に関する警鐘を鳴らしてきました。残念ながら、これまでその働きがほとんど理解されず、むしろ日本の牧師たちに批判されました。ところが、権威主義的な牧師たちの問題が日本のマスコミにも取り上げられるに連れて、日本福音同盟も見て見ぬふりをすることができなくなり、昨年の12月に、教会のカルト化に関する声明文を出して、「この点に関しては、社会委員会やその他の機関において引き続き取り組んでいただくことにしている」との方針を打ち出しました。そして、今回の『札幌宣言』において、「このような危機に私たちは立ち向かう」との決意を表明している訳ですが、その具体的な実践を期待したいものです。