『聖神中央教会』のその後
2012.2.16『脱会者の声:聖神中央教会事件から学べること』セミナー開催
2012.2.16ものみの塔聖書冊子協会は、120年前から様々な預言を発表する宗教団体としてよく知られています。少なくとも6回(1914年、1918年、1925年、1941年、1975年、1995年)、「世の終わり」を預言していますが、しばしば預言の根拠として挙げられるのは、キリストが世の終わりの前兆について語られた言葉です(マタイの福音書24章等)。「1914年より、人類はかつてないほどの規模で、戦争や地震、及び疫病を経験しているから、ハルマゲドンが近い」というのが、ものみの塔の主張です。最近では、鳥インフルエンザが大流行する可能性があるという報道にかこつけて、人々の不安を煽っています。2005年12月22日号の『目ざめよ!』誌の中で、1918年から1919年にかけて猛威を振るったスペイン風の悲劇を詳細に述べた後、「専門家」とされる多くの人々のコメントを紹介しています。
「『ワクチン』という医学誌は・・・・・・さらに、このウイルスについてこう予測しました。『ウイルスは世界各地に急速に広まり、幾度にもわたって伝染の波が押し寄せるであろう。どの年齢層の罹患率も極めて高く、あらゆる国の社会的・経済的活動に大規模な混乱が生じる。ほとんどの、もしくはあらゆる年齢層において通常を越えた死亡率が顕著になる。経済的に最も発展した国の保健衛生システムでさえ、医療上の需要に十分こたえることはできないだろう。』このようなシナリオはどれほどの危機感をもって受け止めるべきでしょうか。『インフルエンザの大流行』の著者であるジョン・M・バリーはこう説明しています。『核兵器がテロリストの手に渡るというのは、どの国の政治家にとっても悪夢だ。インフルエンザの世界的大流行はそれに勝るとも劣らない」(8-9頁)。
最後に、同誌はインフルエンザの予防法についてのアドバイスを読者に与えずに、「疫病が永久になくなる楽園」の話に入りますが、言うまでもなく、その楽園は忠実なエホバの証人にだけ約束されているものです。こうして、ものみの塔協会は、人を不安に陥れてから、組織の中へと誘う訳ですが、その勧誘のありかたに、倫理上の大きな問題があると思われます。
更に、同誌は、歴史的事実に反する情報を流しています。人類が1914年より終わりの時代に入り、キリストの予告した「しるし」がかつてないほどの規模で発生するようになったという組織の見解の正しさを強調するために、スペイン風は人類史上、他のどんな伝染病よりも多くの犠牲者(2,100万人)を出したとしています(6頁)。これは度々、ものみの塔協会の出版物の中で述べられていることですが(『あなたは地上の楽園で永遠に生きられます』151頁等)、全く虚偽の情報です。542年に発生したユスティニアヌスの疫病によって、1億人が死亡したと推定されています。1347年からヨーロッパを襲った黒死病は、世界中で7,500万人の命を奪っています。16世紀に、痘瘡や水疱瘡によって、メキシコの人口が3,000万人から300万人に減りました。19世紀には、コレラが世界中に流行して、1億人が死亡したと言われています。
このように、ものみの塔は明らかに偽りの情報を流しており、厳格な情報コントロールをしています。しかし、組織が読者から隠している最も重要な事実は、世界人口が20世紀に突入してから、かつてないほどの勢いで激増している、ということです。これこそ、ものみの塔の主張を根底から覆す事実です。組織が主張するように、1914年以来、前の時代で見られないほどの戦争、地震、飢饉、疫病が発生しているのであれば、世界人口は横這いになるか、あるいは減少の傾向に向かっているはずです。