この道しかない
2015.1.6イザベラ・バードの話
2015.4.27 総務省統計局の資料によると、日本には、820万戸もの空き家があるそうです。5年前に比べ、63万戸(8.3%)の増加です。この問題で頭を抱えている政府は、空き家を放置し、活用していない人に対して、通常の6倍の固定資産税を課することに決めました。果たして、社会問題化している状況が変わるのでしょうか。
しかし、何故、これだけ空き家の数が激増しているのでしょうか。何年か前に、自分の家を売却しようとした時のことを思い出します。近くの不動産屋さんに査定を頼みました。すると、ビックリ仰天するような安い価格を提示されました。その理由を尋ねたところ、「10年、経過しているので、建てた時より建物の価値が半分になります」と言われたのです。
私たちはきちんと家の手入れをしていたし、その話に納得できないので、「どうして、そうなるのですか」と質問しました。すると、相手は、「不動産査定表」らしき物を見せながら、表情一つ変えずに、「日本では、こういうことになっています」と言うのです。私はその言葉にひどく、腹が立ちました。別に傷んだ所がどこにもないのに、高いお金を出して購入した家なのに、ただ10年経過しているというだけの理由で、「半額になります」という話にどうしても納得がいかないので、「どうして、そのような不条理な話がまかり通るのですか」と更に質問しました。不動産屋さんはしばらく黙ってから、苦し紛れに、「今度、購入される方の気に入った間取りではないかも知れません」と言います。「では、一般的に受け入れられるような、使いやすい間取りであれば、価格はさほど、下がらないのですね」と言うと、返事はありませんでしたが、最後に、「日本特有の住宅事情があると思います。湿気も多いし、地震もあります」と言いました。そこで、私は一段と怒りの度が増して、こう反論しました。
「アメリカにも湿気の多い地域もあるし、地震の起きる場所もありますが、だからといって建築してから10年後に家の査定額が半減するという話を聞いたことがありません。そんなのは屁理屈です。」
私の話が相当、応えたのか、不動産屋さんは慌てて、帰る支度を始めました。そして、帰り際に、ポツンと、こう漏らしたのです。
「まぁ、日本の建設業界の利益が最優先されているということでしょうね。」
私はその言葉を、彼の本音と受け止めました。「20年経過したから、あなたの家には何の価値もありません」と言われれば、人は「じゃ、そろそろ建て直そうか」と考える。そうすれば、建設業界が儲かる。欧米の国々のように、50年も100年も同じ家に住まれては困る。このような思惑だったような気がしますが、日本の経済が振るわない中で、数10年ごとに家を再建したり、大幅なリフォームをしたりできる人はそういないのではないでしょうか。また、「建築20年以上の家には価値がない」と洗脳されている人々は、古い家に関心を示さずに、「新しい物のほうが良い」と考えるかも知れません。いずれにしても、820万戸の空き家は、深刻な社会問題です。
「彼らは家を建てて住み、ぶどう畑を作って、その実を食べる。彼らが建てて他人が住むことはなく、彼らが植えて他人が食べることはない。わたしの民の寿命は、木の寿命に
等しく、わたしの選んだ者は、自分の手で作った物を存分に用いることができるからだ。彼らはむだに労することもなく、子を産んで、突然その子が死ぬこともない。彼らは主に祝福された者のすえであり、その子孫たちは彼らとともにいるからだ」(イザヤ書65章21―23節)。
千年王国の様子を描いている聖句ですが、将来、神の約束が必ず実現することを信じて、不動産屋さんを赦すことにしました。