世界を驚かせたアーミッシュの愛
2013.12.20靖国神社参拝問題の謎
2014.8.22 ソチ・オリンピックは、様々な人間ドラマを繰り広げながら、無事に閉幕しました。前予想通りにメダルを獲得できた人、実力を十分に出せなかった人、また幸運な状況によって想定外の優勝を果たした選手もいましたが、「幸運」と言えば、誰もが思い出すのは、12年前のソルトレークシティ・オリンピックの男子ショートトラックスピードスケート1000メートルにおいて金メダルを獲得したオーストラリア人スティーブン・ブラッドバリー選手でしょう。
1回戦は、たまたま同じ組の対戦相手にブラッドバリーよりも飛び抜けて速い選手がいなかったため接戦となり、なんとか混戦を制して準々決勝に進むことができました。準々決勝はアボロ・アントン・オーノなど優勝候補らと同じ組となりました。ブラッドバリーは実力差のゆえに中盤から最下位(4位)に後退し、追走する状況となりますが、最終コーナー直前、田村直也とマーク・カニヨンが接触し、田村がコーナーに大きくコースアウトして壁にぶつかり転倒したため、ブラッドバリーは3位でゴール。準々決勝では、上位二人しか準決勝に進出できないため、本来ならブラッドバリーはここで敗退するところでした。しかし、審判が田村とガニヨンの接触について、「ガニヨンが田村を妨害した」と判断し、2位でゴールしていたガニヨンが失格となります。それによって、繰り上げでブラッドバリーはが2位となり、準決勝に進みます。準決勝では、スタートから優勝候補者たちの先頭集団に遅れを取り、終始、最下位(5位)で追走するレース展開になりましたが、残り半周付近で金東聖が転倒し、更に最終コーナーを曲がり終える直前には李佳軍とマシュー・ターコットがそれぞれ転倒。ゴール直前に計3人が転倒したことによりブラッドバリーは2位でゴールし、決勝進出を果たします。決勝では、準決勝よりも大きく先頭集団に遅れを取り、レースの終盤まで最下位(5位)で追走する状況となります。レース後のインタビューで、ブラッドバリーは「体中が痛くて先頭集団のペースに到底ついて行けないことが分かっていたから、わざと、離れて、前の人が転倒することを期待していた。それしか作戦が立てられなかった」と話していましたが、驚くことに、彼の期待通りのことが起きました。ゴール直前の最終コーナーで前を走っていた4人の選手が互いに接触し合い、全員、転倒したために、一人後方にいて難を逃れたブラッドバリーが4人を抜き、1位でゴールし、金メダルを獲得したのです。南半球の国にもたらされた、初めての冬季オリンピック金メダルでした。「棚からぼたもち」とは、まさにこのことを言うのでしょう。今でも、オーストラリアでは、人々は予想外の幸運な出来事を「ブラッドバリー」と呼びます。
聖書の中にも、「ブラッドバリー的」な出来事を経験した人として、使徒パウロがいます。パウロはキリスト教会を迫害した人物ですが、イエス・キリストとの劇的な出会いによって人生が全く変えられます。
「私は使徒の中では最も小さい者であって、使徒と呼ばれる資格のない者です。なぜなら、私は神の教会を迫害したからです。ところが、神の恵みによって、私は今の私になりました」(1コリント15:9-10)
ここで、パウロは自分の身に起こったことを表現するのに、「恵み」という言葉を使っています。聖書の重要なキーワードの一つですが、受ける資格のない者に一方的に与えられる神のご好意を意味します。オーストラリア人なら、「ブラッドバリー」という言葉を使うかも知れませんが、神の恵みはラッキーな人にでなく、求めるすべての人に与えられるものです。
「ですから、私たちは、あわれみを受け、また恵みをいただいて、おりにかなった助けを受けるために、大胆に恵みの御座に近付こうではありませんか」(ヘブル4:16)。
あなたにも、「ブラッドバリー的」なことが起こりますように。